東野圭吾といえば読書好きではなくても名前だけは聞いたことがあるはず。
映画化やテレビドラマ化の常連で、ミステリーやサスペンスの世界に、東野圭吾作品から入った方も多いのではないでしょうか。今回は東野圭吾作品の「悪意」について書いていきます。(あまりネタバレしないよ!最後の結末は書かないよ!僕の記事では大体結末は書かないようにしてるよ!読んでみてほしいからね!)
人気作家の日高邦彦が仕事場で殺されて発見される。第一発見者は日高の妻理恵と、幼馴染の野々口修。
犯行現場から刑事・加賀恭一郎が推理し、逮捕された犯人は幼馴染の野々口だった。なぜか犯行動機については語らない野々口。彼がなぜ犯行に及んだのか。野々口の書いた手記を頼りに、加賀たちがその動機を探るミステリー。
本作品は1996年に発行されたミステリー推理小説です。ページボリュームは350ページ超の長編。刑事・加賀恭一郎推理シリーズの第4作目にあたります。
野々口が犯行に及んだことが確定していて、 なぜ野々口が日高を殺したのかという「動機」を探っていくミステリー作品。小説の特徴としては、会話を多く採用していて(特に前半)、地の文では心理描写や心情描写を多く扱い、情景描写に関しては必要なところ以外はかなり省いています。(かなりシンプルにしている)
上に書いた情景描写の少なさの理由は、一人称視点で章ごとの登場人物の「手記」や「記録」、「回想」という手段を使って物語を進めるためだと思われます。一人称で物語の内容が濃いと『風を体全身で感じる。それはまるで風呂敷のように包み込んでいるようだった』みたいな感じで長々と書いちゃうとミステリーのスピード感を折ってしまうかなって。でも、小説の中にところどころ比喩表現がちりばめられていて読者を飽きさせない工夫を感じます。
この小説のカギになるのは、野々口の犯行動機です。犯行動機をラストに明かすとき、この小説のタイトルの意味を考えることになります。
僕の素直な感想なんですけど、タイトルは「動機」でもよかったんじゃないかなって……。「動機」だったら、『小説の冒頭でも言ったけど、野々口が犯行を犯したことについて書いている小説だよ』って思えるんじゃないのかなって……。考えが素人すぎますねw
ごめんなさい。ちょっとネタバレします。

冒頭でネタバレなしっていいましたが……。ちょっと書かせて!
この小説で読者に訴えかけるのは、人間は些細なきっかけと悪意で殺人を犯してしまう恐れがあるということ。ちりも積もれば何とやら。どんな人間でもそんな壊れやすさと感情をもって生活している。これが心に残りました。
「悪意」は東野圭吾作品の中でもファンの多い作品です。読みやすい部類には入らないと思いますが、読んだ後にじっくりと考えたくなるのは他のミステリー作品にない要素かなと思います。よかったら読んでみてちょ。
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