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半落ち(横山秀夫)|駆け落ちと勘違いしていない?

 親から借りて読んだ「半落ち」

 皆さんは「半落ち」を読んだことはありますか?「半落ち」という映画については聞いたことがありましたが、どんな内容かも知らず、小説が原作ということで読んでみました。

 確か、初めて「半落ち」という言葉を聞いたのは、映画が流行っていた頃だと思います。小説を原作にした映画が、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞したのが2005年なので、かれこれ15年程前ということになります。小説を読むまでは「半落ち」のことを「駆け落ち」と同じニュアンスだと思っていて、恋愛モノだと勘違いしていました。恥ずかしい……。

 「半落ち」とは警察用語で「一部自供した」ということだそうです。取り調べで容疑者が「半分自供した」ということですね。

「駆け落ち」じゃない!内容はゴリゴリのミステリー

 三日前にアルツハイマー病に侵された妻を殺害した……。 現職警察官の梶聡一郎が自首してきたことから物語が始まります。

 妻を殺した動機や状況について素直に話していく梶。事件は犯人の「完落ち」で丸く収まると思っていた。 しかし、梶は殺害から自首までの「空白の二日間」について頑なに語ろうとはしない。梶が二日間、どこで何をしていたのか。県警、検察、新聞記者、弁護士、裁判官。 梶が受刑者となって向かう刑務所まで。 梶と関わる全ての者が「空白の二日間」の謎に飲み込まれていく。「空白の二日間」の真実を探る物語。

 あらすじはこんな感じ。ゴリゴリのミステリーです。刑事モノが好きな方はドストライクでしょう。どこまで書けばいいのか迷いますが、ラストは伏せていたほうが驚きがあると思います。

 350ページ程の長編ですが、あらすじに書いた梶を取り巻く人物ごとに章分けされており、別々の視点で進みます。後半に入ると真相に迫っていくのでサクサク読める印象があります。

 刑事モノ特有の文字の固さもなく、僕の印象としてはかなり読みやすい部類に入ります。読み進めていても躓いてしまうところもなく、サクサク読めちゃうって感じですかね。会話もかなり多めですので会話の中から心理描写を読み解くこともできます。

 ラストについては「なるほどな……」と納得できるよくできた作品であることは間違いありません。作品を読み進める程に「梶の人となり」が見えてくるのですが、読み進めれば読み進める程、「なぜ梶は妻を殺してしまったのだろうか」と考えてしまいます。作中にも動機はしっかりと描かれていて事実なんです。ですが、こんな誠実な人が犯罪を犯してしまうまで追い込まれる「アルツハイマー」が恐ろしい。作中では考える必要のない導入の部分ですが、読み終わった後の余韻として残ったのは僕だけじゃないと思います。「空白の二日間」の謎を追う物語ですが、それに至った経緯も読みどころですね。

 また捜査の過程で梶の部屋から「人生五十年」という遺書らしきものが出てきます。49歳の梶が50歳となるときに自殺してしまうのではないか……。「人生五十年」という言葉の意味も物語のカギとなってきます。

 ミステリーはなんでも気になってきますよね。変なとこに注目したり。それが全然関係なかったり。面白いところだと思います。

作者紹介

 作者の横山秀夫さんは1957年生まれの62歳。東京生まれで、記者の経験を経て小説家デビューされています。漫画の原作を担当したりと多彩な方で、「半落ち」以外にも話題作を多数出版しています。

 「半落ち」は2003年の直木賞の候補になっていましたが、選考委員から「致命的欠点が存在」と指摘され議論の対象になったとか……。

  議論の過程を見て僕の感じたことを書きます。

 この作品はフィクションであり大衆娯楽です。欠点があろうが作者に誤認があろうが、娯楽は「面白いものは正しい」です。面白ければ売れるし、面白くなければ売れない。賞についても面白ければ受賞するし、面白くなければ受賞しない。それだけが重要だと思います。そしてこの作品はフィクションです。架空の物に欠点がないわけがないのです。架空の物なんですから。

 それだけ「賞の選考というのは神経を使う」ということは重々承知していますが、作品に一番であってほしいと思います。

半落ち (講談社文庫)

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